ラバライフ

アラサー男が海外情報を中心に発信します。シンガポールに住んでたので、シンガポール情報多めです。

西加奈子先生のベストセラー小説『i 』人種・肌の色・境遇・性などアイデンティティを考えるきっかけに

最近、アメリカでの黒人差別問題が社会問題になってますよね。

 

白人警官が黒人男性を殺害した事件は、かなり衝撃的でした。

 

ちょっと前まで新型コロナでアジア人が諸外国で差別や暴行を受けることもあり、

それに対してアジア人が「私は中国人じゃない!」と反抗したりと、それはそれで問題じゃないかと考えることもありました。

 

最近、そういう人種や肌の色などのアイデンティティ問題が多くなってきたなと感じます。

 

新型コロナで各国が国境を閉じ、グローバルな世界からインターナショナルな世界に逆行した印象です。

 

今、世界中の人々がアイデンティティについて考えているのではないでしょうか。

 

そういう時、ぜひ読んで頂きたい小説があります。

 

それが『サラバ!』などで有名な西加奈子先生の『i』です。

 

 

主人公はシリア人で幼少期に豊かなアメリカ人夫婦の養子に入るアイという女性です。

 

そして日本で学生生活を送り、日本語ペラペラです。

そんなアイは高校の数学の授業で「この世界にアイ=i(虚数)は存在しません」という教師の一言で、自分のアイデンティティについて考えるようになります。

 

アイはシリアが紛争と貧困で大変な状況なのに「なぜ自分が養子に選ばれ、その悲劇から逃れることができたのか。なぜ自分なのか」など深く考え込みます。

 

そして、3.11同時多発テロ、東日本大震災などのニュースを見て「なぜ自分ではなく彼らが犠牲になるのか」と他人事として考えられず、ノートに死者数をメモするという、とことん自我と向き合います。

 

そのように、小説内でアイはとにかく自分の人種・境遇など自身のアイデンティティを形成するものととことん向き合います。

 

またアイの親友もセクシャルマイノリティで自分のアイデンティティについて悩んでいます。

 

普段の生活ではあまり触れない、いわゆる「タブー視」されている事柄について主人公視点でとことん考えていくのがこの小説の特徴です。

 

普通の人間であれば考えないような深さで考えるので、読み手側にもかなり考えるきっかけになります。

 

あまり本編の内容について言及するとネタバレになるので割愛しますが、僕はこの小説を読んで、

 

「人を外面・プロフィールだけで判断するのは辞めよう」と改めて考えたと同時に、

 

「幸せな今の境遇に素直に感謝し、日々を楽しく生きていこう」と決めました。

 

相手を尊重し自分のことも大事にする、そんな当たり前のことがないがしろになっている今の世界を取り巻く殺伐とした現状でぜひ読んで頂きたい小説です。